イワノフ第一副首相

 


■ 2月15日にプーチン大統領がセルゲイ・イワノフの国防相兼任を解き第一副首相に昇格させる大統領令に署名したことで、イワノフ副首相兼国防相が第一副首相に昇格したという。後任の国防相にはセルジュコフ連邦税務局長が起用されたようだ。セルジュコフはサンクト・ペテルブルグ国立大学法学部を卒業し税務機関でトップに登りつめた経歴をもつから、“文民出身の国防相”ということになる。


プーチン大統領はロシア憲法に従って08年3月に大統領職を退任しなければならないし、3選の声があっても08年に退陣すると明言している。プーチンを熱烈に支持する勢力もプーチンの3選を可能にする国民投票の実施に向けて動いていたが、06年9月に中央選挙管理委員会がこの要請を却下している。


日本の報道も、今回イワノフが第一副首相に昇格したことで“同格”のメドベージェフ第一副首相とともに後継レースを本格的に争うことになるというようなことを書いている。プーチンがこの2名を副首相に起用したのは05年11月だった。このときプーチンは、ガスプロムの会長を務め大統領府長官でもあった当時40歳のドミトリー・メドベージェフを第一副首相に就任させ、大統領府長官にはセルゲイ・ソビャニンが就任した。そして52歳のイワノフ国防相を副首相に就けて国防相との兼務にした。つまりこのとき、これまで副首相を務めていたアレクサンドル・ジューコフと合わせて3名の副首相が誕生したのだ。メドベージェフとイワノフを次期大統領への有力候補と見るなら、“プーチン大統領の後継レース”は05年11月14日から始まっていたのである。この日に新たなポストが2つ誕生し、そのポストに就いたのがメドベージェフとイワノフだったのだから。


日本のメディアはこの2名ばかりを次期大統領候補として取り上げているし、この2人のどちらかが次期ロシア大統領に選ばれる可能性は高いのだろうと私も眺めているが、可能性は薄いながらもフラトコフ首相なんて奇策もありえると私は考えている。しかしこれは“奇策”だから、この場合、フラトコフ後の大統領には再びプーチンということになるだろう。


まあ、これは現時点での推測だし、選挙のときまでに国際情勢がどのようになっているかにもよるし、決めるのはロシア国民であるから、意外な人物が登場する可能性だってあるだろう。



プーチンという賢明な大統領の後任がロシアをどうしていくのか、その舵取りが大変なことは確かであるとはいえるだろう。


メドベージェフ第一副首相は世界最大の天然ガス企業ガスプロムの会長イワノフ第一副首相は今年の夏頃までに設立される国内の主要航空機メーカーを統合する新たな独占公社「統一航空機製造会社」の会長に就任しているから、ロシアの天然ガス事業と航空機産業を動かす重要な役職を、期待される第一副首相の職務と兼務している(兼務することになる)重要人物で、経済に与える影響も両者ともに大きいといえる。両者ともプーチンの側近。


アメリカの大統領選とともにロシアの大統領選にも注目していこうと思う。


【関連】ロシア次期大統領候補(2005年11月16日)


以下に記事を2件。

イワノフ国防相が第一副首相に昇格
ページ更新時間:2007年02月16日(金) 10時28分

ロシアのプーチン大統領は15日、セルゲイ・イワノフ国防相を第一副首相に昇格させる人事を発表しました。イワノフ国防相プーチン大統領の有力な後継者の1人とみられており、後継者レースが本格化するものと受け止められています。

プーチン大統領はイワノフ国防相が武器輸出分野で成果を上げたことなどを理由とした上で、「ロシア経済にあらたな活力を与えるために権限を拡大した」と昇格の理由を述べ、工業分野での再建をゆだねる考えを明らかにしました。

大統領選は来年3月に行われますが、圧倒的な支持を得ているプーチン大統領が誰を後継者に選ぶのかが最大のポイントになっています。

今回、後継者の1人で内政・経済面を担当するメドベージェフ第一副首相とイワノフ氏が同格になったことで、指名を巡る争いはいっそう激化することになります。(16日08:27)


http://news.tbs.co.jp/headline/tbs_headline3495253.html


イワノフ氏が第一副首相に 

ロシア、メドベージェフ氏と後継大統領争う 

【モスクワ=稲熊均】プーチン・ロシア大統領は15日、イワノフ副首相の国防相兼任を解き、第一副首相に昇格させる大統領令に署名した。ロシアではイワノフ氏とメドべージェフ第一副首相が大統領の有力後継者とみられている。今回の人事で2人は同格となり、ほぼ1年後の大統領選に向け、後継レースが本格化しそうだ。

後任の国防相には、プーチン大統領と同じサンクトペテルブルク出身のセルジュコフ連邦税務局長が起用された。

来年3月に任期の切れるプーチン大統領の後継者については、最近の世論調査でメドべージェフ氏の支持率が19%なのに対し、イワノフ氏は11%と低迷していた。原油高がもたらす好景気の中、経済政策を担当するメドべージェフ氏の人気が高まったのに対し、グルジアなど旧ソ連諸国との軍事的な緊張が一時高まったことで、安全保障問題を担当するイワノフ氏への風当たりが強まったためとみられる。

プーチン大統領はこれまで、自身と同じ旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のイワノフ氏を有力後継者と位置づけることで、メドべージェフ氏ら経済閣僚を中心とする政権内穏健派と治安・軍事部門の強硬派の均衡をとってきた。このため、支持率で落ち込んだイワノフ氏の求心力を回復させようと昇格に踏み切ったとみられる。

イワノフ氏は2人目の第一副首相として、安全保障分野だけでなく、成長を続ける金融などの民間経済も担当する予定だという。


http://www.chunichi.co.jp/00/kok/20070216/eve_____kok_____002.shtml


※ 以上の雑記は、2月16日に書き、16日21時にアップしたもの。