ブラックストーン・グループがIPO準備

 


ブラックストーン・グループがIPOを計画中であることをブルームバーグやロイター通信が報じている。ブラックストーンのシュワルツマン会長は、05年にブラックストーンのIPOが噂になったとき、CNBC放送とのインタビューで「われわれはまったくIPOを検討していない」と言明していた。今回の情報ソースもCNBC発のようだ。



ブラックストーンを創業したのはピーター・ピーターソンスティーブ・シュワルツマンの2人。外交問題評議会(CFR)の理事長を現在つとめるピーターソンは元商務長官で、リーマン・ブラザーズ・クーン・ローブCEOを務めた経歴を持つ人物。ピーターソンはブラックストーンの上級会長という地位にあるが、80を超える年齢であることからみて、上級会長というのは名誉職的な役職であろう。ブラックストーンを動かしている司令塔はシュワルツマンで、シュワルツマンもリーマン・ブラザーズ出身だ。シュワルツマンはエール大学を出ており、スカル・アンド・ボーンズのリストにはシュワルツマンの名前がある。


【1969】 Schwarzman, Stephen Allen
Managing Director, Lehman brothers Kuhn Loeb


シュワルツマンの前年にあたる1968年のメンバーがジョージ・ブッシュ現大統領であるから、同じボーンズマンとしてブラックストーン(シュワルツマン)と大統領は極めて親密な関係にあるといえるだろう。先日のフォーブスが発表した「世界長者番付」で、シュワルツマンは35億ドルの資産で249位にランクされており、これは同業であるKKRの総帥ヘンリー・クラビスの349位(26億ドル)よりも上位になる。



FORTUNE(2007.3.5)表紙の人物

"The New King of Wall Street"(ウォール街の新たな帝王)

Blackstone's Steve Schwarzman


コールバーグ・クラビス・ロバーツとブッシュ家」に書いたように、KKRのヘンリー・クラビスとブッシュ家の関係も、プレスコット・ブッシュの時代からつづく親密なもの。米ファンドとして、KKRとブラックストーン、そしてカーライル、現在この3社が事実上の3巨頭となるが、この3社はブッシュ家を通してとても近い関係にあることが解る。普段は自社の利益を求めて各社が別々に活動しているように見えるが、これらはいつでも同じ意図と意思をもって“一体化”することが可能であることを知っておく必要がある。「別々のようで同じである」と。


   


現在のCFRのボードメンバーは、「ブラックストーングループ会長」としてピーターソンが理事長を務め、副理事長にはカーラ・ヒルズとロバート・ルービンが名を連ね、デヴィッド・ロックフェラーが名誉会長、モーリス・グリーンバーグが名誉副理事長となっているのだから、シュワルツマンと同等かそれ以上に、ブラックストーンの共同創業者ピーターソンの人脈も“最強”のものである。



Peter G. Peterson


以下に転載する記事では、2月にシュワルツマンが、「IPOに対する需要を損なった」として、ヘンリー・クラビスを批判してる。このときの批判はこんかい表面化したブラックストーンのIPO計画から出た“本音”だったのかもしれない。


以下に記事を3件。

ブラックストーンCEOがKKR批判−「ファンドIPOの需要潰した」

2月27日ブルームバーグ):米投資会社ブラックストーン・グループの共同創業者スティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)は、米投資会社のコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の共同創業者ヘンリー・クラビス氏がプライベート・エクイティ(PE、未公開株投資)ファンドの新規株式公開(IPO)に対する需要を損なったと批判した。

KKRは昨年5月に、レバレッジド・バイアウト(LBO、買収先の資産を担保にした資金借り入れによる買収)ファンドとしては初の上場に踏み切り、50億ドルの資金を調達した。これは当初予定の約3倍。しかし株価はその後最大で16%下落し、IPO価格を上回ったことは一度もない。こうした流れを受けて、英企業買収会社のダウティ・ハンソンは10月に10億ユーロ相当のIPOを取りやめた。

シュワルツマン氏はこの日の会議で、「KKRは優れた仕事をした」と指摘した上で、「ただ他社にとっての市場を崩壊した。それがKKRの目的だった」と批判した。

さらに同氏は、他のPE企業がKKRに続く公算は小さいと指摘。その理由として、他社は十分な資金調達ができるか確信が持てないからだと説明した。ブラックストーンは、年金基金といった機関投資家など伝統的な資金源から、約200億ドルの資金を調達している。

一方、KKR投資委員会メンバーのトッド・フィッシャー氏は同じ会議で、「公開市場がわれわれに可能にしていることは、新しい投資家にアクセスできることだ」と述べた。また、「資本を多様化することはよいことだ」と語った。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=ar_BEuCzxSys&refer=jp_home

米ブラックストーンがIPOを計画、ゴールドマンなど起用−関係者
2007年3月17日(土)10時51分

3月16日(ブルームバーグ):米買収ファンド大手、ブラックストーン・グループが新規株式公開(IPO)に向けて準備を進めていることが16日、事情に詳しい関係者の話から明らかになった。

リーマン・ブラザーズのバンカー、スティーブ・シュワルツマン氏とピーター・ピーターソン氏が1985年に立ち上げたブラックストーンは、証券大手のゴールドマン・サックス・グループと米銀最大手のシティグループとともに、IPOの作業を進めているという。米経済ニュース専門テレビ局のCNBCが 16日伝えたところでは、IPOは月内に発表され、同社の評価額は約200億ドル(約2兆3320億円)になる可能性がある。

ブラックストーンが経営権を握る企業の年間総売上高は830億ドルに上り、従業員数は37万5000人。同社はヘッジファンドや企業買収に助言を与える会社も運営している。ブラックストーンの広報担当、ジョン・フォード氏はコメントを控えた。ゴールドマンとシティもコメントしていない。

プライベートエクイティ(PE、未公開株)ファンド運営会社や買収ファンドのIPOとしては、2月の米フォートレス・インベストメント・グループのIPOに次ぐものとなる。フォートレスの公開価格は1株当たり18.50ドルで、上場初日の取引で68%高を演じた。

公開企業になれば、ブラックストーンは投資や手数料、投資収益などに関する情報開示を迫られる。同社のIPOが順調にいけば、ライバルのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)やカーライル・グループなども追随する可能性がある。

ハーバード・ビジネス・スクールのジョシュ・ラーナー教授は「フォートレスの成功がIPO実施に駆り立てたのは確実だ」と指摘。「ただ公平に言えば、PEファンドの利益には本質的に変動があるもので、極めて難しい面もあるだろう」と語った。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=17bloomberg32aiC1U4TvxDcY

投資ファンド大手のブラックストーン、株式公開の観測強まる
日本経済新聞 - 2007年3月17日

【ニューヨーク=松浦肇】米大手投資ファンドブラックストーン・グループが近く新規株式公開(IPO)に踏み切るとの観測が強まっている。米欧主要メディアが16日、相次いで報じた。パートナーと呼ばれる幹部が株式売却で利益を確定したうえで、新たにファンドを設立する狙いがあるとみられる。

ブラックストーンの運用資金は640億ドル(約7兆5000億円)と世界最大規模。主力の買収ファンドに加え、ヘッジファンドなど様々な投資・運用事業を手がける。

もともと買収ファンドは非公開が主流だったが、世界的なカネ余りを背景に投資ファンドが市場から直接資金を調達する例が増えている。大手ではカーライル・グループなどもIPOの観測があり、米国のM&A(企業の合併・買収)市場が一段と活発になりそうだ。(12:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070317AT2M1700A17032007.html


Wall Street's man of the moment



■ 21日からマイケル・ヘイデンCIA長官とイラクのハシミ副大統領が来日するらしい。

CIA長官、来日し外相と意見交換へ イラク副大統領とも接触

米国のヘイデン中央情報局(CIA)長官が21日から数日間の日程で来日し、麻生太郎外相と北朝鮮イラク情勢などをめぐり意見交換することが16日、分かった。

麻生外相はヘイデン長官との会談で、7月に期限切れとなるイラク復興支援特別措置法改正案の今月中の国会提出を念頭に、イラクの治安情勢について意見交換する。

政府は、ヘイデン長官の提供情報を基に、イラク特措法改正案の国会提出を最終決断する方針。

一方、ヘイデン長官と同じ21日、イラクのタリク・ハシミ副大統領(スンニ派)も来日する。4月には、イラク国内でスンニ派と対立を深めるシーア派のマリキ首相の来日も予定されており、政府としては、イラク国内主要両派の首脳から航空自衛隊の輸送活動への評価を受けるねらいがある。

政府はヘイデン長官とハシミ氏が日本国内で接触する可能性についても注目している。

(2007/03/17 02:14)

http://www.sankei.co.jp/seiji/seisaku/070317/ssk070317001.htm