バークレイズ銀行がABNアムロを買収?

 

   


バークレイズ銀行ABNアムロを買収するかもしれないという。バークレイズは、HSBCロイヤル・バンク・オブ・スコットランドに次ぐ英銀3位の大手。もしABNアムロとの合併が実現したら、それはHSBCに次ぐ英銀2位となり、時価総額HSBCシティグループに迫る巨大金融機関が誕生することになるが、まだ予備的な段階らしいから今後どうなるのか不明。


ABNアムロは05年にイタリアのアントンべネタを買収していたが、バンク・オブ・アメリカなどに買収されるかもなんて噂が何度か出ていたし、バークレイズとも2年前に合併交渉をしたことがあったらしいから、買収される脅威は常にあったということなんだろう。

06年のFT500(世界企業番付)では、HSBCが11位(1900億ドル)、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドが39位、バークレイズは67位、ABNアムロは109位にランクされていた。このFT500は時価総額に基づく番付だが、フォーブスによる「世界優良企業番付」になると、HSBCが5位、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドは14位、バークレイズは20位、ABNアムロは41位となり、銀行がかなり上位にランクされる。以下は銀行を抜き出したもの。


 FT500(06年版)

4.シティグループ
6.バンク・オブ・アメリカ
11.HSBC
18.三菱UFJ
22.JPモルガン・チェース
31.UBS
36.ウェルズ・ファーゴ
39.ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド
43.みずほフィナンシャル
49.サンタンデール銀行
59.三井住友
63.BNPパリバ
67.バークレイズ
70.ウニクレジット
78.BBVA
84.クレディ・スイス
90.ソシエテ・ジェネラル
92.HBOS
101.ドイツ銀行
105.クレディ・アグリコル
109.ABNアムロ


 世界優良企業番付(フォーブス06年版)

1.シティグループ
3.バンク・オブ・アメリカ
5.HSBC・グループ
9.JPモルガン・チェース
10.UBS
14.ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド
17.BNPパリバ
19.サンタンデール銀行
20.バークレイズ
24.HBOS
26.ウェルズ・ファーゴ
30.クレディ・スイス
41.ABNアムロ
43.ソシエテ・ジェネラル・グループ
44.みずほフィナンシャルグループ
46.クレディ・アグリコル
62.三菱UFJフィナンシャル・グループ



ABNアムロを買収したいと考えているのはバークレイズだけではないだろうから、たとえば、同じオランダのINGとか、スペインのBBVAとか、世界最大を確実にしたいバンク・オブ・アメリカとか、フランスのBNPパリバとか、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、スイス勢‥‥といった銀行がABNアムロ買収戦に乗り出してくる可能性だってあるかもしれない。ABNアムロはオランダ最大の銀行なのだから、どこかとの合併をもし望んでいるとしたら、手を挙げる銀行はバークレイズだけではあるまい。


バークレイズが提示する買収額がいったいなんぼぐらいの規模なのか気になるところでもある。英文記事では600億ユーロ(800億ドル)なんて噂が出ているが、この数字は、エクソンがモービルを買収した規模(852億ドル)、トラヴェラーズがシティコープを買収した規模(720億ドル)に匹敵する超巨額である。

先日、日本たばこ(JT)が英たばこ大手ギャラハーを買収すると発表された。これは日本企業による企業買収としては過去最高額になると報じられているが、日本企業によるこの最高買収総額ですら2兆2千億円なのだから、800億ドルという規模がいかに巨額であるかが解る。バークレイズによる買収が成功した場合、時価総額18兆円規模の金融機関が誕生するらしいから、この800億ドルという数字は、ABNアムロの価値を計った場合の現実的な提示額なのであろう。05年にABNアムロがアントンべネタを1兆1千億円(82億ユーロ)で買収したとき、ABNアムロ時価総額が6兆円になると日経は書いていた(参照)。


まあ、こういった噂はこのまま消えてしまうかもしれないが、英銀3位のバークレイズがABNアムロ買収に動いているという報道を記録。なんせABNアムロにはロスチャイルドと共同で設立したABNアムロロスチャイルドという金融機関もあるしね。




ABN AMRO Rothschild


以下に記事を2件。

バークレイズ銀、ABNアムロに買収提案…英紙報道

【ロンドン=中村宏之】18日付の英日曜紙サンデータイムズは、英銀3位のバークレイズ銀行がオランダの金融大手ABNアムロに対して非公式に買収を提案したと報じた。

報道によると、提案は予備的な段階で、本格的な交渉に結びついていないが、買収が成功した場合、時価総額約800億ポンド(約18兆円)の世界有数の金融グループが誕生する。ABNを巡っては、最近、同社株の約1%を持つ英国のヘッジファンドが合併や組織再編を求めて圧力をかけており、バークレイズ銀はヘッジファンドの動きに対抗してABNに友好的買収を提案したものと見られている。バークレイズ銀とABNは2年前にも合併交渉を行ったが不成功に終わっている。

(2007年3月18日23時37分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070318i313.htm

バークレイズがABN買収を提案・英紙報道
日本経済新聞 - 2007年3月18日

【ロンドン=吉田ありさ】英銀大手のバークレイズ銀行がオランダのABNアムロ銀行に買収を提案していると、18日付の英サンデー・タイムズ紙が報じた。提案は予備的な段階だが、実現すれば欧州の国境を超える銀行再編としては最大規模となるうえ、時価総額も800億ポンドと欧州最大のHSBCに迫る巨大銀行が誕生する。英フィナンシャル・タイムズ紙(電子版)は複数の銀行が買収に関心を示していると報じた。

英銀第3位のバークレイズは海外事業を拡大しており、ABNアムロを買収すれば北米などで新たな拠点が手に入る。ABNアムロはイタリアの銀行などの買収を進めてきたが、経営陣の拡張路線を批判し部門売却を求める有力株主のヘッジファンドとの対立が激しくなっていた。

http://markets.nikkei.co.jp/special/sp013.cfm?id=d2m1800s18&date=20070318

  

ABN AMRO