日興コーディアルがシティグループの傘下に…

 


シティグループ日興コーディアルへの出資比率を引き上ることで日興を傘下に収める方向で最終調整に入っているという。トラヴェラーズシティグループ)が日興と提携したのが98年。このときトラベラーズは2200億円を出資して日興の株式21%を握り、日興の筆頭株主となった。98年の日興の株価は10月に260円を付けるなどもっとも低迷していた時期だったが、日興株は翌99年12月30日に1328円を付けた。


シティグループが日興への出資比率を引き下げたのが04年12月で、これまでの21%から12%へとし、さらにシティグループは05年12月に12%から4・9%にまで出資比率を引き下げていく。06年末も4・9%だったようだ。
日興株のここ数年の最高値が06年3月22日の2045円。つまりシティグループは、日興株を安値で取得して株価が高くなっているときに売却してきたと見受けられるから、さすがだねえと言いたくなる。05年の日興株の最高値は12月6日の1933円であるから、この時期に出資比率を引き下げたシティグループは“結果的に”高値で日興株を売却していたことになる。

そして現在騒動となっている日興の「不正会計問題」が起こり、2月1日には06年の株価最安値を下回る984円を付けた。「シティグループ日興コーディアルを傘下に収める方向…」と報じられた2月23日の終値は1211円。出資比率は33・3%超(TOB?)になると報じられている。これはもう外資(だけではないが…)の真骨頂「高く売って安く買う」という“理”にかなった戦略そのままという印象だ。同時に、こんなにうまくいくもんなのかという疑念もある。98年の出資比率が21%だったのに対し今回は33・3%超になるかもしれないというのだから、これが実現したらシティグループによる日興への侵食が深く深〜くなることはいうまでもない。


まだこの件は報じられたばかりなのでシティグループ(あるいは日興コーディアル)の目的が実現するかは流動的ではあるものの、もしかしたら日興はシティグループ完全子会社となる可能性だってあるだろう。まあ、日興は98年にトラヴェラーズ(シティグループ)によって事実上買収されていたという見方も有りかもしれん。


読売によればこの件、「早ければ来週にも合意する」とのこと。東京証券取引所が不正会計問題を受け3月中旬に日興コーディアル上場廃止の是非について結論を出すそうだが、先日は、シティグループ東証への上場を検討しており年内にも上場の申請をするつもりだと報じられていたし、外資系金融機関としては初となる日本での持株会社を設立するともシティグループは発表している。この持株会社シティグループの日本での“司令塔”になる。


シティグループは現在使用しているロゴ「赤い傘」「赤いアーチ」に変更するとも先日発表している。(参照「赤い傘が赤いアーチに」


ここ最近のシティグループを見ていると、日本での戦略に大きな動きがあることから、今回の日興の件も含めて、シティグループから目を離せない状況にあるようだ。引き続きシティグループの動きを追っていくことにしようと思う。



以下に記事などを。

日興 米シティグループ“傘下”入りを検討

不正会計問題で揺れる「日興コーディアルグループ」が、アメリカ金融大手「シティグループ」の事実上の傘下に入ることを検討していることがわかった。

関係者によると、シティグループは日興側に対し、現行の4.9%から3分の1を超える株式取得も視野に出資比率の引き上げを打診したという。

これを受けて、日興側は現在、検討を進めている。

[24日2時24分更新]

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn/20070224/20070224-00000004-nnn-bus_all.html

シティグループが日興を傘下に

米金融大手のシティグループが、不正会計問題に揺れる日興コーディアルグループへの出資比率を大幅に引き上げ、事実上傘下に収める方向で最終調整に入ったことが23日、関係者の話で分かった。株式公開買い付け(TOB)などにより、現在の4・9%から議決権ベースで3分の1超の出資を目指すとみられる。

日興をめぐっては、東京証券取引所が日興株を監理ポストに割り当てて、上場維持か廃止かの審査を進めている。シティは東証の判断を待たずに日興への出資拡大方針を打ち出して系列化に踏み切ることで、景気回復が続く日本での事業を拡大する狙いがあるとみられる。日興はシティの系列下で、不正会計で失墜した信頼の早期回復を目指す。

シティと日興は1998年に資本・業務提携を決定し、法人向け業務を手掛ける日興シティグループ証券を共同で設立した。シティは一時、日興コーディアルグループの株式も約20%を保有していたが、その後保有株比率を徐々に減らし、2006年末時点では4・9%となっていた。

シティバンク在日支店のダグラス・ピーターソン最高経営責任者は1月末、日興との提携について「日本や世界で企業にサービスを提供するには不可欠だ」と述べ、協力を続ける姿勢を強調していた。

日興コーディアルグループは昨年末に不正会計問題が発覚し、当時の会長、社長が辞任。顧客離れが進むなど経営に悪影響が出ていた。日興をめぐっては、約5%を出資するみずほコーポレート銀行のほか、かつて提携関係にあった三菱UFJフィナンシャル・グループが関係強化を模索していた。


シティグループ 米ニューヨークを拠点にする世界最大級の金融グループ。米シティコープと米トラベラーズ・グループが合併し、1998年に発足した。銀行、証券、クレジットカード、消費者金融といった幅広い業務を展開。100か国以上で計約2億の顧客口座を持つという。日本では1902年、グループのシティバンクが横浜に店舗を開設。99年には日興コーディアルグループと合弁で現在の日興シティグループ証券を設立した。

(2007年2月24日00時35分 スポーツ報知)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070223-OHT1T00240.htm

米シティ、日興を事実上傘下に=出資33.3%超、3000億円規模
2月23日23時0分配信 時事通信

米金融大手シティグループが国内3大証券の一角である日興コーディアルグループ(CG)を事実上傘下に収める方向で交渉に入ったことが23日、明らかになった。シティは日興CGへの出資比率を現行の4.9%から33.3%超に引き上げる方針。実現すれば3000億円以上の投資となり、役員人事や定款変更など株主総会の重要案件に拒否権を持ち、取締役も派遣する。一方、日興側はシティとの包括提携に生き残りを懸け、利益不正水増し問題で失墜した信用の回復を目指す。

最終更新:2月24日1時1分

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070223-00000203-jij-int

<日興支援>シティグループが出資比率を引き上げ傘下に (毎日新聞)
2007年2月24日(土)01時14分

米金融大手のシティグループ日興コーディアルグループの出資比率を引き上げ、現行の4.94%(議決権ベース)から33.3%超にし、事実上、傘下に入れる方向で交渉を進めていることが23日、明らかとなった。実現すれば投資額は3000億円以上の規模となる見通し。日興グループは05年3月期の有価証券報告書の虚偽記載(利益水増し)で金融庁から5億円の課徴金の納付命令を受け、東京証券取引所上場廃止を検討するなど信頼回復が急務となっており、かつて筆頭株主だったシティグループとの関係強化で経営を立て直し、信頼回復を図る考えだ。

シティグループは04年、シティバンク在日支店が不正取引で金融庁の営業認可取り消し処分を受け、富裕層向け資産管理(プライベートバンキング)事業から撤退したが、日本国内で法人取引などのテコ入れを目指しており、日興グループとの関係強化で国内での地盤強化を狙う。

3月にも日興グループの株式の公開買い付け(TOB)を実施するなどして、市場から日興株を取得する方向とみられる。株主総会で合併など重要事項の特別決議を阻止できる拒否権の取得を狙うほか、取締役の派遣も検討する。

日興グループをめぐっては、資本提携先のみずほフィナンシャルグループや、かつて協調関係にあった三菱UFJフィナンシャル・グループも出資の候補に挙がっており、今後の対応が焦点となる。

日興グループの株主は現在、外資の投資運用会社などが1〜4位を占め、米シティグループは5位、みずほコーポレート銀行は4.82%で6位となっている。

日興グループは利益水増し問題発覚後、機関投資家の発注停止や投資信託の販売が一時的に減少するなど営業面で打撃を受けている。米格付け会社も日興グループの格付けを引き下げるなど、信用が低下していた。【川口雅浩】

毎日新聞2月24日]

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=24mainichiF0224m148

日興がシティ傘下入り、完全子会社化も検討

米金融大手シティ・グループが、日興コーディアルグループ(CG)を事実上傘下に収める方向で交渉に入ったことが23日、明らかになった。

早ければ来週にも合意する。シティが日興CG株の保有比率(議決権ベース)を現在の4・9%から33・4%以上に引き上げる案が有力だ。

シティは日興CGに役員を派遣し、株式の引き受けなどの主要業務で包括提携するとみられる。最終的にはシティが日興CGを100%子会社化する可能性もある。

シティは日興CGを日本の金融戦略の核とし、日興CGはシティの傘下に入って不正会計問題で失った信用回復を急ぐ。国内3大証券の一角が外資の傘下に入れば、日本の金融機関の経営戦略にも大きな影響を与えそうだ。

シティは日興CGに4・9%出資しているほか、日興CG傘下の法人向け証券会社、日興シティグループ証券にも49%出資している。関係者によると、シティは来月にも株式公開買い付け(TOB)で日興CG株の3分の1超を取得する。現在の株価をもとにすれば、取得価格は少なくとも3000億円にのぼる。3分の1超を取得すれば、シティは日興CGの株主総会で、合併などの重要事項を拒否できるようになる。

東京証券取引所は不正会計問題を受け、3月中旬に日興CGの上場廃止の是非について結論を出す。シティは日興CGが上場廃止になっても傘下に加える方針は変えないとみられ、日興CGの完全子会社化に踏み切る可能性もある。シティが完全子会社化した場合は、市場に出回る日興CG株はなくなり、東証の判断にかかわらず、日興CGは上場廃止となる。

シティは日興CGを取り込み、日本での営業基盤の拡大を目指すとみられる。不正会計問題で取引先企業の「日興離れ」が広がる日興CGは、シティとの関係強化で早期の信頼回復を図る。

日興に対しては、大株主のみずほコーポレート銀行などが支援に乗り出すとの観測も出ていた。しかし、日興が提携関係にあるシティの傘下入りを表明すれば、みずほはシティとは争わないとの見方が強い。

(2007年2月24日3時0分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070224it01.htm

米系投資顧問会社日興コーディアル株6・08%取得(読売新聞)
2007年2月22日(木)19時50分

米国の投資顧問会社サウスイースタン・アセット・マネージメントが、日興コーディアルグループの発行済み株式の6・08%を取得したことが、サウスイースタンが22日、関東財務局に提出した大量保有報告書でわかった。純投資が目的としている。

サウスイースタンは米テネシー州に本拠を置く投資顧問会社で、過去に菓子大手の江崎グリコ株や、男性用化粧品のマンダム株を取得したこともある。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=22yomiuri20070222ib22

日興コーデの資金繰り、懸念する状況にはないと確信=日銀総裁
2007年2月22日(木)12時28分

[東京 22日 ロイター] 福井俊彦日銀総裁は22日、参議院財政金融委員会で、日興コーディアルグループ<8603.T>は短期資金が取れなくなっているのではないかとの質問に対し「資金繰りの状況を見ていて、懸念するような状況はないと確信している」と述べた。峰崎直樹委員(民主)の質問に答えた。

また、総裁は「投資家の信認を確保するため、証券市場のより健全な発展を期待していくうえで、努力をしっかり進めて欲しい。同グループが、迅速かつ真摯(しんし)に信頼回復に向けた対応を取ることを強く期待している」と述べた。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=22reutersJAPAN248219

日興、刑事告発の可能性も 不正会計で金融相 (共同通信)
2007年2月22日(木)12時16分

山本有二金融担当相は22日の参院財政金融委員会で、日興コーディアルグループの不正会計問題について「法令違反の事実があれば調査を行い、法令に基づいて適切に対応する」と述べ、既に行っている行政処分に加えて刑事告発の可能性もあり得るとの認識を示した。財政金融委員会は、日興の特別調査委員会が、不正は旧経営陣によって「組織的に進められた」と認定する報告書を取りまとめたことを受けて、参考人質疑を行った。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=22kyodo2007022201000316

日興コーディアル証券がLCFロスチャイルド・グループと提携
シティバンク無法金融 米大手銀行が日本で犯した罪
ビッグバンの荒波に呑み込まれた日本金融界


● トラベラーズは日興に2,200億円を出資して発行済み株式の21%を握る筆頭株主に躍り出た。事態が動いたのが米シティグループが撤退を強めたことだ。04年12月に出資比率を21%から12%へ。さらに05年12月4.9%に引き下げた。シティとの関係が薄れた日興は、シティ後の後ろ盾を探す必要に迫られた。(引用「首脳2人が失脚した日興コーディアルグループ」


※ ただ06年3月24日付の『日興、東京スター銀買収思惑…株3分の1超取得』という見出しの「ZAKZAK」は、日興コーディアルグループ筆頭株主シティグループ11.19%)だと書いている(参照:こちらのコメントに転載してある記事)から、シティグループが出資比率を4・9%に引き下げていったのはすぐ上の引用「05年12月」ではなく06年かもしれない。どちらであっても「高く売って安く買う」という印象は変わらないが…。日興コーディアルが「上場廃止」となって、その日興を傘下に置いたシティグループが上場なんてことになった場合、なんだかねえという感じもする。