メディオバンカ

 


■ 昨日の「エンデサ買収戦にエネルが参入」の続報だが、エネルがエンデサ株をUBSメディオバンカから取得することで、先日取得した9.99%から比率を約22%に引き上げるらしい。2月27日の発表だとエネルは約41億3000万ユーロ(約6480億円)を投じ1株当たり39ユーロで1億580万株を取得しているのだが、今回の追加取得も1株当たり39ユーロで、最大1億2260万株を取得するとのこと。UBSから7410万株を買うことで同意できているということだから、残る5千万株近くをメディオバンカから取得するということなのだろう。

メディオバンカ(Mediobanca)が資産売却を発表
更新日:2005-09-15

メディオバンカ(Mediobanca)は、イタリアで最も影響力のある投資銀行といわれる。もともとは、国営企業であったのが、1999年に民営化された。メディオバンカは、株式保有によってイタリアの主要企業をコントロールしているといわれている。
(後略)
http://www.eurocriterion.com/trend/mediobanca-1.html

メディオバンカは収益の最大化よりはむしろコントロールの最大化を目標とし、同国トップ企業の巧みなネットワーク操作によりその目標を達成していた。
http://www.tradition-net.co.jp/door/door_siten/ousyu.htm


メディオバンカはイタリア最大の保険会社ジェネラーリの筆頭株主でもある。メディオバンカといえばフィアット社の総帥ジョヴァンニ・アニュリベルルスコーニが重役室にいたことで有名だ。ここで気になるのは、メディオバンカがエネルの株式をどれほど所有しているのかということだが、これがわからない。しかしイタリアでエネルに次ぐ電力会社2位のモンテディソン(エディソン)の株式を15%保有(01年)したのがメディオバンカなのだから、量は不明ながらもエネルの株式をメディオバンカは所有しているのではないだろうか。

Italenergiaは、Motedisonの支配獲得を通じ、旧国営独占企業ENELに次ぐ第2の企業グループを目指しているとされる。一方、Motedison株式の15%を保有する投資銀行メディオバンカMediobancaは、他のパートナーと共に巻き返しを図ろうとしているものとみられる。Montedisonに端を発したイタリアのエネルギー業界再編の第一幕は、イタリア産業界の主要プレーヤー総出演の波乱の展開となっている。
http://www.japanitaly.com/jp/newsflash_2001081.html

メディオバンカがどうもクセモノに見えて仕方がない。イタリア最大の企業乗っ取り屋(マーチャントバンク)がメディオバンカなわけで、上記引用のようにイタリア企業をコントロールする支配銀行なのである。メディオバンカの取締役にジョヴァンニ・アニュリがいたように、イタリアで“唯一の財閥”アニュリ家のフィアット社との結びつきも強い。フィアットは傘下のフェラーリの株式34%をメディオバンカに売却したりしているし、メディオバンカはフィアットの主要債権者だという。ここにはメディオバンカの顧問(相談役)としてウンベルト・アニェリの名前がある。ウンベルトはフィアットの総帥ジョヴァンニ・アニュリの弟だが、兄ジョヴァンニが03年に亡くなったのに続いて弟も04年5月に亡くなった。アニュリ兄弟が亡くなっても「フィアット帝国」を支配するのはアニュリ家であることに変わりはないようだ(参照)。アニェリ家はフィアット発行済み株式の3割を持つ(参照)。



メディオバンカについては時間があるときゆっくり調べようと思う。イタリア企業の支配構造を知るにはメディオバンカが重要な存在だと思うし、メディオバンカがエンデサ株を約5千万株(これは4.58%に相当)も持っていたわけだし、エネルがエンデサ株9.99%取得後もさらなる取得に強気だった根拠はメディオバンカ(とUBS)が保有する株があったからだと考えられる。


今回のこうしたエネルの参入によりエンデサ買収を目指しているエーオンはどう動くだろうか。



スペインはエンデサをエーオンから“保護”し、フランスはスエズをエネルによる買収の脅威から“保護”し、イタリアはアリタリア航空の政府保有株放出の行方で“苦心”している。

イタリア政府はアリタリア航空の政府保有株49.9%のうち少なくとも30.1%を売却することを表明している(参照)が、イタリア政府はアリタリアのどんな買い手でも航空会社本部をイタリアに置いておかなければならないと言っている。そんな中、アリタリア航空が2月22日、新しい会長兼CEOを選出した。ジャンカルロ・チモーリ会長兼CEOが退任し、ローマ銀行会長のベラルディーノ・リボナーティが会長兼CEOに就任する。このローマ銀行会長がアリタリア売却に取り組むことになるようだ。


以下に記事を5件。スペインの銀行は元気が良さそう。

伊エネル:スペインのエンデサ株を追加取得へ−独エーオンに対抗
2007年3月2日(金)11時48分

3月1日(ブルームバーグ):イタリアの電力最大手エネルは1日、同社が 47億8000万ユーロ(約7400億円)を投じ、同業でスペインのエンデサに対する持ち株比率さらに約12ポイント引き上げることで合意したと発表した。ドイツの電力会社エーオンもエンデサ買収を目指しており、これに対抗する。

エネルの資料によれば、同社はスイスの銀行、UBSとイタリアの金融サービス、メディオバンカからエンデサ株を最大1億2260万株取得する。取得平均価格は1株当たり39ユーロ。エネルは、スペイン監督当局から認可を受ければ、エンデサの出資比率をほぼ22%に引き上げることができる。

エネルは2日前にもエンデサ株をおよそ10%買い入れ、さらに出資比率を最大24.99%までに引き上げることができるよう監督当局に申し入れている。

エネルとスペインの建設会社アクシオナやスペイン政府などの持ち分を合わせると、エンデサ株の過半数を占めることになり、エーオンが410億ユーロで目指しているエンデサの経営権取得を阻止するには十分な持ち株比率となる。スペイン政府は、エーオンによるエンデサの敵対的買収に反対している。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=02bloomberg34ahxPE3NGYnxc

伊エネル、スペインの電力大手への出資比率引き上げ
日本経済新聞 - 2007年3月2日

【フランクフルト=後藤未知夫】イタリアのエネルギー大手エネルはスペインの電力大手エンデサへの出資比率を24.9%に引き上げることを決めた。エンデサに対しては、昨年2月から独エーオンが買収提案しており、スペイン政府などに続いて横やりが入った格好。エンデサを巡る攻防は1年を超える異例の長期戦となる。

エネルは2月末、エンデサ株の約10%を取得したばかり。エネルは一時、仏スエズの買収を検討するなどM&A(企業の合併・買収)に積極的で、南米諸国にも強みがあるエンデサへの出資拡大によって業容を広げる狙いがある。

エンデサを巡っては、スペインのガス大手ガスナトゥラルの買収計画に対抗してエーオンが買収を提案。同国政府が様々な留保条件を付けたが、欧州連合(EU)の欧州委員会の反発で後退。さらにスペイン建設大手のアクショナが出資し、官民の保護主義的な動きで膠着(こうちゃく)状態が続いた経緯がある。(21:45)

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070302AT2M0200S02032007.html

BBVA:中信国際金融と中信銀へ追加出資も−08年初めまでに
2007年3月2日(金)16時20分

3月2日(ブルームバーグ):スペイン2位の銀行バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)は2日、香港に上場している中信国際金融の持ち株比率を2008年初めまでに現在の約15%から35%に引き上げる意向であることを明らかにした。

BBVAのフランシスコ・ゴンサレス会長は北京でのインタビューで、中信国際と未上場の中信銀行への出資を合わせて10億ユーロ(約1550億円)増額する計画だと述べた。中信銀に対する出資比率を5%から10%に引き上げたいという。

ゴンサレス会長は、「BBVAは真に世界的な金融機関になることを望んでおり、アジアと米国でさらに買収を進める可能性を否定しない」と語った。同会長はその上で、中信国際と中信銀への資本参加や米コンパス・バンクシェアーズ買収の効果を見極めるため、「しばらくは新たな案件は検討していない」と述べた。

BBVAは2月、米事業拡大のためコンパスを96億ドル(約1兆1300億円)で買収することで合意したと発表した。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=02bloomberg34a3UViyXB6oLE

アリタリア航空会長にローマ銀のリボナーティ氏
日本経済新聞 - 2007年2月22日

【ミラノ=野沢正憲】再建中の伊アリタリア航空は22日、株主総会を開き、新しい会長兼最高経営責任者(CEO)にローマ銀行会長のベラルディーノ・リボナーティ氏を選んだ。ジャンカルロ・チモーリ会長兼CEOは退任する。

リボナーティ氏は伊テレコムの会長などを務めた経験を持つ。チモーリ氏は2004年に企業再建の手腕を買われてアリタリア会長に就いたが、労組との衝突などでリストラに失敗した。

リボナーティ氏は大株主である伊政府とともに同社の売却に取り組むことになる。アリタリア買収には米投資ファンドのテキサス・パシフィックグループや伊航空2位のエアワン、伊銀大手ウニクレディトなど5組が残っている。(10:05)

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070223AT2M2300623022007.html

アリタリア航空:11社が買収希望示す−政府保有株式の売却先公募

1月29日(ブルームバーグ):経営再建中のイタリア最大の航空会社、アリタリア航空の政府保有株式49.9%の売却先公募で、米投資会社テキサス・パシフィック・グループやイタリアの銀ウニクレディトを含む11社が締め切りの 29日までに買収希望を示した。

イタリア財務省の発表文によれば、同国の資産家カルロ・デ・ベネデッティ氏の投資会社マネジメント&カピタリと同国2位の航空会社エアワン航空のオーナー、カルロ・トト氏も買収希望を示した。

同国政府はアリタリア航空の自力再建を断念し、同社の売却を昨年12月に決定。買収希望者に対しては少なくとも30.1%の株式取得合意を義務付けるとしている。アリタリア航空は02年以降、赤字経営が続いており、28日には06 年の損失が3億8000万ユーロ(約598億円)に達したもようだと発表した。

テキサス・パシフィックは発表文で、最終的にはイタリア内外の投資家と組んでアリタリア航空に対する買収提案を行う計画を示した。アリタリアの株式約2%を保有する欧州最大の航空会社、エールフランス・KLMグループは条件が合わないとして、買収希望は示さなかったと発表した。

http://news.www.infoseek.co.jp/bloomberg/market/story/30bloombergazbRj_oc5PM4/


アリタリア再建は民間で 伊政府が保有株売却へ(2006/12/7)
再建に11グループ名乗り アリタリア政府保有株買収へ(2007/1/31)