メリルリンチがナイジェリアの債務を買い取る
■「コールバーグ・クラビス・ロバーツとブッシュ家」に少し追記した。
■ メリルリンチが、ナイジェリアが抱えている債務を約5億ドル買い取るらしい。ナイジェリアの財務相は「歴史的な債務の負担から自由になる」と述べたというのだが、「自由になる」とはどういう意味なんだろうか。
米メリルリンチ、ナイジェリアの債務買い取り
日本経済新聞 - 2007年3月3日【ロンドン=岐部秀光】米メリルリンチはアフリカ最大の産油国であるナイジェリアから同国のロンドンクラブ(債権銀行団)向け債務約5億ドルを買い取る。同国の対外債務は一時、国内総生産(GDP)の6割に相当する350億ドルに達したが、今回の取引で完済にメドがついた。
ナイジェリアの返済義務がメリルリンチに移管し、帳簿上、ロンドンクラブ向け債務が消える。ナイジェリアのウスマン財務相は「歴史的な債務の負担から自由になる」と述べた。同国は昨年、パリクラブ(主要債権国会議)向け債務を完済している。
ナイジェリアは昨年、複数の格付け機関から初めて外貨建て国債の格付けを獲得した。ここ数年の原油価格高騰と産油量の増大でナイジェリアは財務状況が急速に改善している。政府は債務返済による格付けの向上で外国投資が増大すると期待している。(20:49)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070303AT2M0300103032007.html
昨日の「ジョン・メリウェザー」ではボブ・ウッドワードの『グリーンスパン』からLTCM救済の様子を引用したが、そこで中心となっているのがニューヨーク連銀のウィリアム・マクドナー総裁だった。ニューヨーク連銀に集まった16の金融機関がLTCM救済策をまとめる会議で、救済策の原案を読み上げたのがメリルリンチのハーバート・アリソン社長だったと描かれている。マクドナー前総裁は06年1月にメリルリンチに副会長として雇われたが、オニールCEOの顧問を兼務するとしてメリルリンチ入りしている。つまりメリルリンチの顔としてのトップはオニールCEOであっても、メリルリンチ(オニール)はマクドナーから大きな影響を受けるということだ。
ナイジェリア財務相は「歴史的な債務の負担から自由になる」と述べたのだから、これはこれまでのナイジェリアは債務負担によって不自由だったという意味でもあり、この債務をメリルリンチが買い取ったということは、今後ナイジェリア(産油国)は債権者メリルリンチから多大な影響を受けることになるんじゃなかろうか。日経の記事をみるかぎり、ロンドンクラブ向け債務がメリルリンチに移管しただけなんだから、そのことをもって“不自由”から「自由になる」とは意味不明に思える(債務が減額されたり金利負担が減少するというなら少しは解るけど、仮にそうであっても「債務の負担から自由になる」は大袈裟な表現だし、これだって仮定の話で総返済額が減るかどうかは不明。もしかしたら返済期間を延ばして負担する金利が増えた可能性だってある)。「ウィキペディア」によると、ナイジェリアは総歳入の71%を石油に頼る過度の石油依存国家。
以下に1年前の記事を3件。
米メリル:マクドナー前NY連銀総裁を起用、CEO付顧問兼副会長に
2006年1月23日(月)22時37分1月23日(ブルームバーグ):米証券大手のメリルリンチは、ウィリアム・マクドナー前ニューヨーク連銀総裁(71)を機関投資家および政府渉外でスタンレー・オニール最高経営責任者(CEO)の顧問兼副会長に迎え入れた。メリルの広報担当者、ジェーソン・ライト氏が23日、明らかにした。
マクドナー氏はニューヨーク連銀を退任した後は最近まで、米監査法人を監督する米上場企業会計監査委員会(PCAOB)の会長を務めていた。
マクドナー氏はニューヨーク連銀総裁時代、米史上最大のヘッジファンド破たんとなった1998年のロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)事件後、債権銀行団との間で36億ドル規模の救済をめぐる交渉をまとめるなど、金融市場の沈静化に貢献した。
http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=23bloomberg32aDIuerQdvc2o
WSJ-マクドナー前NY連銀総裁、メリルリンチ副会長に就任
2006年01月24日ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米ニューヨーク連銀の前総裁で、その後、企業会計監督機関のトップを務めたウィリアム・マクドナー氏(71)が、23日付でメリルリンチ(NYSE:MER)の副会長に就任するとともに、メリルのスタンレー・オニール最高経営責任者(CEO)の特別顧問を務めることになった。
メリルによると、マクドナー氏は政府や金融機関と協力し、同社の事業開発を支援するという。同氏のオフィスは、ニューヨーク本社ビル32階のCEO室の近くに構える。
「メリルは預金獲得と融資拡大のために銀行を買収する可能性がある」との観測があるが、マクドナー氏は22日のインタビューで「メリル入社についての同社幹部との話し合いでは、そうした話題は出なかった」と述べている。米連邦準備制度理事会(FRB)は、銀行業界の規制を主導する立場にある。
マクドナー氏によると、同氏はオニール氏にアドバイスするほか、これまでに築いた、各国の元首、財務相、中央銀行関係者、企業幹部とのネットワークを利用して、行政機関への対応業務に極めて積極的に携わるとしている。
同氏は昨年9月、企業改革法(サーベンス・オクスレー法)に基づいて設立された公開会社会計監督委員会(PCAOB)の初代会長を辞任する意向を表明した。同氏は2003年6月から05年11月まで会長を務めた。
1993年から2003年までは、ニューヨーク連銀総裁を務めた。98年には、メリルをはじめ大手金融各社が「ヘッジファンドのロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が清算されれば金融市場の健全性が脅かされる」としてLTCM救済に動いた際、同氏はニューヨーク連銀本部の会議室を大手金融各社の幹部に開放し、LTCM清算回避のための資本注入策をまとめさせた。
1989年までの22年間はファースト・シカゴに在籍し、最高財務責任者(CFO)、副会長を歴任した。
(ダウ・ジョーンズ) - 1月23日16時26分更新
マクドナー新副会長:米メリル入り話浮上は3年前、海外戦略に注力へ
2006年1月26日(木)06時57分1月25日(ブルームバーグ):米メリルリンチが今週新副会長に起用したマクドナー前ニューヨーク連銀総裁は、3年前に同社入りの話が浮上していたことが分かった。
マクドナー氏(71)によると、10年勤めたニューヨーク連銀総裁職を退任した際にメリルのスタンレー・オニール最高経営責任者(CEO)との交渉が始まったが、エンロンなどの米企業破たんを受け監査体制の改善を目指して設立された米上場企業会計監査委員会(PCAOB)の会長に就任することに合意したため、メリルとの交渉は打ち切られたという。
同氏は25日のインタビューで、「スタンが何かほかの事で電話をかけてきたので、わたしは、メリル入りの可能性に関する3年前の話し合いを覚えているかと尋ねた」と今回の人事の経緯を明らかにした。
同氏は、ニューヨーク連銀総裁時代、米史上最大のヘッジファンド破たんとなった1998年のロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)事件後、債権銀行団との間で36億ドル規模の救済をめぐる交渉をまとめるなど、金融市場の沈静化に貢献した。
同氏は今後、メリルの副会長として国際事業に注力する考えで、2月後半から5、6週間かけてアジア、中東、欧州を視察する。最初の訪問先は東京になるという。同氏はオニールCEOの特別顧問にも指名されており、経営戦略や規制上の問題について助言を行う。
http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=26bloomberg32aeqr4X5j7fno