イアン・マクファーレンがゴールマン・サックスの顧問に

 


ゴールドマン・サックスオーストラリア準備銀行の前総裁イアン・マクファーレンを顧問として雇ったそうだ。中央銀行総裁を半年前に退任したばかりの人物がゴールドマンに就職ってねえ。


06年10月にはECBで主任エコノミストとしてトルシェ総裁に次ぐ影響力をもっていたと思われるオットマー・イッシングがECBを退職後にやはりゴールドマンに国際顧問として雇われると発表され、イッシングは07年1月に顧問に就任した。ゴールドマン会長から財務長官に転身したポールソンを支えるロバート・スティー財務次官もゴールドマン出身だし、ジョン・スノー前財務長官の更迭を迫り後任のポールソン財務長官を誕生させたといわれているジョシュア・ボルテン大統領首席補佐官もゴールドマン出身。現在イタリア中央銀行の総裁を務めるマリオ・ドラギゴールドマン・サックス・グループ副会長の地位からイタリア中銀総裁へと転身した人物だ。

下のブルームバーグの記事に登場しているロバート・ゼーリック副会長はこのあいだまで国務副長官をつとめていたあのゼーリックである。ゼーリックは03年と06年のビルダーバーグ会議に呼ばれている。イッシングがビルダーバーグ会議に参加したのは97年〜99年の3回。イタリア中銀総裁(BISメンバー)のマリオ・ドラギは01年〜04年まで連続4回ビルダーバーグ会議に参加してる。ビルダーバーグ会議は2000年から、エティエンヌ・ダヴィニオン議長、マーティン・テイラー名誉事務総長という体制になったが、このマーティン・テイラーもゴールドマンである。ECBのトリシェ総裁だってビルダーバーグ会議には99年から05年まで連続で参加してるし、ニューヨーク連銀からはマクドナー前総裁に続いてティモシー・ガイトナー現総裁が04年から前回の06年まで連続して参加してる。


ティモシー・コリンズが新生銀行の取締役を辞任(ビルダーバーグ関連)


まあ、ここではビルダーバーグの話はいいとして‥‥ゴールドマンに出入りするビッグネームの多さはニュースによって慣れているつもりだが、それでも正直にいえば「またゴールドマンかよ!」てな感じで驚かされるものがある。10年間オーストラリア中銀の総裁をつとめたマクファーレンが退任後半年でゴールドマン入りだもんね。日本でも澄田智日銀総裁を退任したその3カ月後にラザール・フレールの顧問に就任したなんてことがあった‥‥そんな事実を思い出す。

『地球のゆくえ』P.61より

ラザール・フレールは、ニューヨーク州知事クオモやクリントン大統領の黒幕というだけでなく、90年には、日銀総裁だった澄田智を顧問として迎え入れた。ここに、日本経済がどのように動かされているかを知る重要な手がかりがある。何よりも、日本の中央銀行のトップだった人間が、いよいよ経済問題が激動しようという“ベルリンの壁”崩壊直後の89年12月に日銀総裁を辞職すると、翌年3月には早くも、経済紛争の相手側といってもよいラザールの門をくぐって、内部に入って行ったのである。

彼本人だけの履歴を見れば、ベルギー、フランスなどの大使館で一等書記官をつとめ、大蔵省でナンバー1の事務次官まで昇進したあと、輸出入銀行の総裁になり、84年12月から日銀の総裁に就任したことになる。実は、この年こそ日本経済が破綻の第一歩を踏み出したときであった。



『私物国家』P.83より

澄田は、父親の代からフランス財閥と不思議な関係を深めてきた。満州事変の黒幕だったその父の後継者として、自らは大蔵事務次官から84年の日銀総裁を経て、金融開放とバブル経済へと、わが国を疾走させた最大の黒幕であった。

しかも澄田智は、89年12月に日銀総裁を退任すると、フランス・ロスチャイルド財閥の総本山ラザール・フレールの顧問に迎えられ、それと軌を一にして、その外国人投資家の売り浴びせによって、日本のバブル経済が一挙に崩壊したのである。

もしも福井総裁が退任後にゴールドマン・サックスなどの外資系金融機関に雇われたら、そのとき日本ではどういった世論が形成されるんだろうか。べつに福井俊彦じゃなくて竹中平蔵でもいいんだが…。そういや竹中はパソナに就職してたよなあ。

ドイツではシュレーダーという前首相がガスプロム出資の会社の経営責任者(会長)に就職したことで「自ら音頭を取った国家事業で私腹を肥やすのか」と大きな批判を浴びていたが、シュレーダーはその3カ月後にロスチャイルドに顧問として雇われたなんて事実もある。


今日はポールソン財務長官が初来日して、尾身財務相や福井日銀総裁そして安倍総理と会談する予定だったな。



写真は07年1月のもの


以下に記事をあれこれ。

米ゴールドマン、豪中銀のマクファーレン前総裁を顧問に起用
2007年3月5日(月)13時59分

3月5日(ブルームバーグ):時価総額で世界最大の証券会社、米ゴールドマン・サックス・グループは、オーストラリア準備銀行(RBA)のイアン・マクファーレン前総裁(60)を顧問に起用した。

マクファーレン氏は2006年9月にRBA総裁を退任。同氏の10年の総裁任期中、オーストラリアの景気拡大は続き、インフレ率は平均で中銀の目標レンジの中間の2.5%だった。

ゴールドマンのロバート・ゼーリック副会長は5日の発表資料で、マクファーレン氏の「オーストラリアばかりでなくアジア太平洋地域全体についての専門知識と経験」に期待する考えを示した。

マクファーレン氏は2002年に、ユーロマネー誌の「今年の中央銀行総裁」に選ばれた。今年に入り、豪銀3位のオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)と豪小売り最大手のウールワースの取締役会にも加わっている。

ゴールドマンでは豪州と世界の公共政策、経済問題について同社とその顧客にアドバイスする。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=05bloomberg32aIB_zPY_96po

Macfarlane's new job



Ian Macfarlane will join Goldman Sachs as an international adviser.

The former Reserve Bank of Australia governor brings almost 30 years of economic and public policy experience to the global investment bank.

Goldman Sachs says he will provide strategic advice on domestic and international public policy and economic issues.

Mr Macfarlane served as the head of the RBA from 1996 until 2006.

He is currently a non-executive director of ANZ and Woolworths, and a director of the Lowy Institute for International Policy.

http://www.skynews.com.au/business/story.asp?id=157581


イタリア政府、中銀新総裁にマリオ・ドラギ氏を指名=政府筋
2005年12月30日(金)06時06分

[ローマ 29日 ロイター] イタリア政府筋によると、同国政府は、イタリア中央銀行の新総裁に米証券大手ゴールドマン・サックス幹部のマリオ・ドラギ氏(58)を指名した。

地元銀行の買収をめぐるスキャンダルで先週辞任したファツィオ総裁の後任となる。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=30reutersJAPAN198343

前ECB主任エコノミスト、米ゴールドマンの顧問に (AFP=時事)
2006年10月16日(月)20時41分

【フランクフルト16日】欧州中央銀行(ECB)のイッシング前主任エコノミスト(専任理事)はドイツ経済紙ハンデルスブラットとのインタビューで、米投資銀行ゴールドマン・サックスの国際顧問への就任を承諾したと明らかにした。イッシング氏はゴールドマンの日常業務には関与しないため、利益の相反が生じることはないと主張している。

ゴールドマンでは事業に関わらない顧問的な役割を務める。イッシング氏はゴールドマン入りを受け入れる前にECBの理事会に相談し、承認を得たという。ECBもこれを確認している。

ECBでは幹部が辞任後12カ月は利益が相反する可能性のある別の職に就くことを禁止しているが、イッシング氏がECBの主任エコノミストを退職したのは5月だった。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=20061016afpAFP009147



イッシング前ECB専務理事、ゴールドマン非常勤顧問に=業界筋

業界関係者筋によると、欧州中央銀行(ECB)のイッシング前専務理事(70)は2007年1月付で、米ゴールドマン・サックスの非常勤顧問に就任する。

同筋によると、イッシング前専務理事は、ゴールドマン・サックスの証券および世界投資リサーチ部門の顧問役となり、世界および欧州経済と金利への影響についてのコンサルタント業務を行うことになるという。

ECBは、前専務理事がゴールドマン・サックスの職務に就くための申請が認可されたことを確認、07年1月1日付けで有効となる。

前専務理事は今年5月末、任期満了で退任した。

[フランクフルト 16日 ロイター]

http://consulv.sblo.jp/article/1482672.html

米財務次官(国内金融担当)にスティール氏、ゴールドマン出身
日本経済新聞 - 2006年9月6日

【ワシントン=藤井一明】ブッシュ米大統領は5日、先に辞任を表明したランダル・クオールズ米財務次官(国内金融担当)の後任に米証券大手ゴールドマン・サックスの副会長などを務めたロバート・スティール氏を指名すると発表した。上院の承認を経て正式に就任する。ゴールドマン出身のポールソン長官の補佐役として、公的な支援を受ける住宅金融会社の改革問題などを担当する。

http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20060906D2M0601B06.html

ブッシュ政権にゴールドマンパワー

ブッシュ政権内で、米大手証券ゴールドマン・サックスの出身者が存在感を増している。大統領の側近である首席補佐官を始め、財務長官や財務次官などの要職に人材を輩出し、「政権内で同窓会が出来るのではないか」と陰口がたたかれるほどだ。経済政策などに一定の影響を与えているとの指摘もあり、ゴールドマン人脈に注目が集まっている。(ワシントン 矢田俊彦)


◆対中「全権大使」

米中の経済問題を包括的に話し合う米中戦略経済対話。昨年12月に北京で開かれた初会合で、閣僚7人とバーナンキ連邦準備制度理事会FRB)議長を率いたのがヘンリー・ポールソン財務長官だ。

ゴールドマン人脈で、経済政策担当の筆頭格のポールソン長官は、ゴールドマンの会長兼最高経営責任者(CEO)として、ビジネスで70回以上の訪中歴を持つ「知中派」で知られる。中国問題の「全権大使」として人民元改革を促すなどの難題に取り組んでいる。

長官を支えるロバート・スティール財務次官は、ゴールドマンで株式担当責任者だった。今は、金融当局側として米金融市場の発展に努める。


◆仕掛け人

ポールソン長官を政権内に引き込んだ「仕掛け人」とされるのはジョシュア・ボルテン大統領首席補佐官だ。1990年代にロンドンのゴールドマンで法務・行政担当責任者として活躍した後、2001年、ブッシュ政権入りし、大統領次席補佐官、行政管理予算局長を歴任。ポールソン長官の前任者であるジョン・スノー前財務長官の更迭をブッシュ大統領に迫ったといわれている。

このほか、米商品先物取引委員会のルーベン・ジェフリー委員長、ランダル・フォート国務次官補が人脈に連なる。ゴールドマンの主任エコノミストだったウィリアム・ダットリー氏は今月、ニューヨーク連銀副総裁に就任した。


◆長所と短所

経済関連の著作を手掛ける作家のジョン・ゴードン氏は「経済分野では、ゴールドマンの優秀な人材は最高のアドバイザーとなっている」と評価する。

政府の民間登用が極めて少ない日本では、株式市場の実態把握が遅れ、ニッポン放送株を巡る騒動では、ライブドア側に市場の制度不備をさんざんつかれた苦い経験がある。当時は「ウォール街と政権の交流が盛んな米国なら、ホリエモン事件のようなことは起こらなかった」(日本の証券関係者)との声が聞かれた。

ただ、政権と民間の間でめまぐるしく人が出入りする「リボルビング・ドア(回転ドア)」には慣れている米国でも、あまりの緊密ぶりにはうわさもつきまとう。昨年秋の中間選挙直前のガソリン価格の急下落が、ゴールドマンが商品先物指数に組み込むガソリンの比率を引き下げたことがきっかけだったこともあり、「選挙対策を狙ったブッシュ政権の意図的な操作」との憶測を呼んだ。


ブッシュ政権のゴールドマン人脈


ブッシュ大統領
ジョシュア・ボルテン大統領首席補佐官
ヘンリー・ポールソン財務長官
ロバート・スティール財務次官

   ↑  ↑  ↑
    回転ドア
    ↓  ↓

ゴールドマン・サックス
ロバート・ゼーリック元国務副長官
ファールヤール・シールザッド元大統領副補佐官


ゴールドマン・サックス】1869年創業の証券会社で世界最大手の投資銀行。2006年度決算は純利益が約95億ドル(1兆1400億円)と過去最高を記録した。政治献金も巨額で、89年から06年の総額は約2400万ドル(28億8千万円)にのぼり、米国内で9位だ。共和、民主両党にバランス良く献金している。日本では、74年から東京にオフィスを開設し、03年に三井住友銀行との資本・業務提携で話題となったほか、企業再生に関連した投資を積極的に行っている。


読売新聞朝刊9面(2007年1月28日)

米証券業界の好景気とゴールドマン・サックス:ゴールドマンサックスがブッシュ政権を支配?
ゴールドマンサックスと米政府の間にある”緊密な関係”
対中国政策の鍵を握るポールソン米財務長官:なぜ財務省は元相場切り上げに消極的なのか?

米ゴールドマン、サウジアラビア最大の銀行と提携で暫定合意
2007年2月5日(月)06時17分

2月4日(ブルームバーグ):時価総額で世界最大の証券会社、米ゴールドマン・サックス・グループは、サウジアラビアで最大の銀行、ナショナル・コマーシャル・バンクとの提携で暫定合意に達した。世界第1の産油国投資銀行業務の商機を探る。

発表によると、ナショナル・コマーシャル・バンクの新たな投資銀行部門、NCBキャピタルとゴールドマンは、暫定的な「戦略的協力」合意文書に署名した。

ゴールドマンのロイド・ブランクフェイン最高経営責任者(CEO)は発表文で、中東「地域での幅広い事業構築に注力している。今回の動きはこの戦略の鍵となるものだ」と述べた。

米欧の投資銀行は、人口の伸びが著しく原油収入が経済発展の追い風となっている中東地域での事業拡大を図っている。米モルガン・スタンレーは1月 17日に、サウジアラビアでの現地投資銀行キャピタル・グループとの合弁事業計画を明らかにしている。

サウジアラビアでは商業銀行と投資銀行業務を分離することが法律により求められている。発表によると、NCBとゴールドマンはNCBキャピタルのサウジアラビア市場当局への登録後に、正式の合意文書に署名する。その時期については明らかにされていない。

http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=05bloomberg34a.2VIbuG1sao

USJ、東証マザーズ上場へ
2007年02月13日21時49分

東京証券取引所は13日、テーマパークの「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を運営するユー・エス・ジェイ(USJ、大阪市)株式を3月16日に東証マザーズに上場する、と発表した。

USJは05年、米証券大手のゴールドマン・サックス(GS)などを引受先に250億円の第三者割当増資を実施。財務体質の改善で、07年3月期決算は、01年の開業以来初の最終黒字転換を見込んでいる。現在、USJ株式はGSが48.8%、日本政策投資銀行が11.13%、大阪市が10.02%を保有している。

株式公開に伴う公募増資による調達額は約95億円の見込みで、約26億円は今春開業する新アトラクションへの投資にあて、残りの約69億円は債務の圧縮に使う。今後、レストランやホテルなど事業の多角化を目指す。将来は東証1部への移行を視野に入れているとみられる。

http://www.asahi.com/business/update/0213/125.html

【スクープ】最強外資「荒稼ぎの手口」週刊ポスト 2005-09-23