フォルクスワーゲンがポルシェの傘下へ
■ ポルシェがフォルクスワーゲンを実質傘下に収めることになるらしい。ポルシェは年間だいたい9万台の生産で9千億円ほどの売上。これに対しフォルクスワーゲンは500万台以上を生産し12兆円ほどを売上げる。規模からいったら傘下になるのは逆だろうと思うのだが、フォルクスワーゲンを買収の脅威から防衛する狙いがあると日経は書いている。
フォルクスワーゲンといったら自動車強国ドイツを代表する大手で、アウディもフォルクスワーゲンの別ブランドである。ランボルギーニはアウディの傘下にあるし、ベントレーはフォルクスワーゲンの傘下だから、ポルシェがフォルクスワーゲンを実質傘下に収めるということはランボルギーニもベントレーもまとめて傘下になってしまうということになる。
3月15日付の『The Economist』が「Family capitalism」という興味深い記事を載せている。それによると、ポルシェ家とピエヒ家が議決権を独占することでポルシェを完全支配している。現在フォルクスワーゲングループの監査役会会長をつとめるフェルディナント・ピエヒはフェルディナント・ポルシェの孫だから、ポルシェ家とピエヒ家は同族である。この両家はポルシェの株の半分を所有しているだけなのだが、議決権を完全に握っていて、市場で取引されている残りの株式には議決権がないそうだ。そして近々「フォルクスワーゲン法」が撤廃されることで、ポルシェ家とピエヒ家がフォルクスワーゲンを支配することになると。
「Family capitalism」の日本語訳を『日経ビジネスオンライン』が掲載しているので、以下に。アニュリ家のところで書かれている支配構造は、国土計画(コクド)と西武グループの関係に似てる。「すべてを支配する頂点の企業は大抵、非上場企業」であるとね。
ポルシェ家とピエヒ家「良くも悪くもワーゲンは私たちの会社」
同族資本主義 ほんの2%の株式所有で上場会社を支配する仕組み
2007年3月22日 木曜日 The Economist,EIS創業者とその家族が上場会社に特別な力を及ぼすことはしばしばある。たとえ、彼らの持ち株数が少数であっても。
2005年半ば、ポルシェの株主の中に、わずか18カ月後にポルシェ社がフォルクスワーゲン(VW)の筆頭株主になると考えた者はほとんどいなかったに違いない。同時に、それは彼らがとやかく言うことではなかった。というのも、彼らがポルシェの経営者や戦略に口を出す権利はほとんどないからだ。ポルシェ家とピエヒ家はポルシェ株の半分を所有しているに過ぎない。にもかかわらず、議決権をすべて握っている。ポルシェの資本の残り半分を提供している、市場で取引されている株式には議決権がないのだ。
最近の欧州の司法判断を受け、いかなる株主もVWに対して20%以上の議決権を行使してはならないと定めた「VW法」は撤廃される見通しだ。もしそうなれば、ポルシェ一族とピエヒ一族がVWを支配することになる。ポルシェはVWの議決権付き株式の27.4%を保有しているからだ。株主の世界の民主主義では、政治の世界と同様、投票率が低ければ議決権のおよそ3分の1で会社を支配できる。
両家の影響力はこれにとどまらない。VWはスウェーデンのトラック・エンジニアリング大手スカニアの株式の20%を保有している。スカニアの議決権付き株式には2種類あり、一方は他方の10倍の議決権を持つ。こうした多数議決権株式のおかげでVWはスカニアの議決権の35.3%を有している。言い換えると、ポルシェ家とピエヒ家は金銭的にはわずか2%出資しているだけでスカニアの支配権を持つのである。
資本家が会社の支配権を犠牲にすることなく資金調達する方法
最初の公開市場に会社が上場されて以来、資本家は支配権を犠牲にすることなく資金調達する方法を模索してきた。ポルシェの例は起業家がよく使う2つの方法を示している。1つは、階層化させた企業群を通じて、より大きなグループの支配権を握るもので、特にイタリア人が好む策略だ。階層を追うごとに、頂点の小さな会社が持つ資本を増幅させていく。2つ目は、株式を上場する際に、一般向けに議決権がほとんどないか、あるいは全くない株式を発行する方法だ。どちらも合法である。
ポルシェのケースは、ある一族がいかにして他人の大金を駆使して強大な力を行使できるかを示す極端な例だ。といって、珍しいものでもない。米国のある研究結果によれば、米国の上場企業のうち、会社数にして6%、株式時価総額で8%の企業が2002年に二重階級構造を持っていた。2005年のあるベルギーの研究によると、欧州の大企業のうち1株1議決権の原則を厳格に適用している企業は3分の2に過ぎないという。
企業支配のオープンな市場を作りたい欧州委員会は、こうした行為に反対すべきかどうか検討している。イスラエルは進んでいて、議決権の同等な割り当てを証券取引所に上場する条件としている。これはバランスを取るのが難しい問題だ。自由主義の観点からすると、投資家とオーナーは両者が望むどのような契約も自由に結べるべきだ。一方で、会社を下手に統治する一族を保護することは、改革の妨げとなる。それは経済上、悪いことではないか。
最も二重階級株式が多いのがスウェーデン
欧州の中で最も二重階級株式が多いのがスウェーデンだ。上場企業の約3分の2が発行している。スウェーデンで最も有名な実業家一族で、保有するスカニア株の大半をVWに売却するまで同社を支配していたウォーレンバーグ家は、その使い方にかけて名人級だ。一族の財団は、一族が支配する上場投資会社インベスターの多数議決権株を保有している。このほかに特別株式の層がある。インベスターは家電メーカーのエレクトロラクスや電気通信機器メーカー、エリクソンなどのスウェーデン企業の発展を支えてきた。こうした企業の大半は議決権が多い株式を発行しており、インベスターがかなりの量を持っている。
フォード家はわずか3.75%でフォード・モーターを支配
北米の著名企業の中にも二重階級株を使っているところがある。フォード家は既に会社のオーナーではない。フォード・モーターの株式のわずか3.75%を保有しているに過ぎないが、誰が会社を支配しているかを疑う余地はない。同社が1956年に株式公開した時、フォード家の持ち株は特別株に転換された。それは普通株の発行株数に関係なく、議決権の40%をフォード家に保証するものだった。
1993年から98年までフォードの経営トップの座についていた故アレックス・トロットマン氏はかつて、フォードのボスとして成功するためには、会社だけでなく一族もうまく管理する必要があると語っていた。
グーグル創業者もそう・・・
二重階級株式は過去の遺物というわけではない。2004年、グーグルが株式を上場した時、共同創業者のラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏は二重階級の株式構造にこだわった。グーグルは一般向けに1株1議決権のクラスA株を新規発行した。ブリン、ペイジ両氏がその大半を保有していた既存株は、1株当たりの議決権が10倍のクラスB株になった。2人の創業者はグーグルの発行済み株式総数の5分の1程度を保有しながら、議決権の5分の3を握っており、結果、支配権を保持しているのだ。
二重階級株式は投資家に対して、特定の経営陣が期限の制約なしに会社を支配することを保証するために作られている。創業者の長期的なビジョンや戦略を株式市場の力から守るためのものだ。グーグルの場合、同制度の採用はブリン、ペイジ両氏の判断の方が株主の判断より優れているという考えに基づいており、同社を創業した2人の天才(あるいは彼らの子孫)が考えを変えない限り続くことになる。
2人はこうした構造を望む理由について、予定株主に向けた「オーナーズ・マニュアル」の中で明確に記している。
「(それにより)、部外者がグーグルを買収したり、グーグルに影響を及ぼすことが難しくなる」「我々経営陣が長期的、革新的なアプローチを取りやすくなる」「そして我々経営チーム、特にサーゲイと私が会社の決定と運命について大きな支配権を持てる」
こうした株式構造は上場の直前に設定されることが多く、そのため、疑いを持たない投資家にこうした構造を押し付けたとオーナーを非難することは難しい。中身が全く同じ企業があるとすれば、1株1議決権を与える企業よりも二重階級株式の企業の方が株を安く買える。多数議決権株を持つ企業では、一族を追い出すことができないため、投資家の権利は弱い。つまり、欠点がどうであれ、二重階級株式は「公平」なのである。
少なくともこれが二重階級の論理だ。しかし、それが信じられないこともある。イタリアの起業家は二重階級株と同じ狙いを実現するために、複雑な企業の階層構造(scatole cinesi、すなわち「中国の入れ子」とも呼ばれる仕組み)を利用する。
フィアット・グループを支配するアニェリ家が使った仕組み
これが、上場企業でありイタリア最大の産業グループであるフィアット・グループを支配するためにアニェリ家が用いた仕組みである。
一族のcassaforte(文字通り、その金庫)である合資会社ジョバンニ・アニェリ&Cは、2つの上場企業、IFIとIFILという階層を通じてフィアットの30.3%を支配している。これはフィアットの株主総会を支配するには十分な数だ(例えば2006年の株主総会で議決権が行使されたのは議決権付き株式全体の半分以下で、事実上、IFILの議決権は2倍になった)。
中国の入れ子の力をまざまざと見せつけたのは、2003年、フィアットが悪化するバランスシートを改善するために増資を必要とした時だった。この一件は、2億5000万ユーロ(増資の呼び水としてアニェリ家の合資会社がIFIに注入した額)を18.4億ユーロ(フィアットが調達した額)に変える方法を教えてくれる。言い換えると、階層にある上場企業3社の少数株主が資金の大半を提供したのだ。
ここにもう一ひねり加わる。2003年に亡くなるまでアニェリ帝国を率いたジャンニ・アニェリの孫で、筆頭後継者であるジョン・エルカーンが、ジョバンニ・アニェリ&Cを支配している。この合資会社の議決権の31%を所有するディチェンブレという会社の支配権を彼が握っているためだ。
数十人にも上るフィアット創業者の子孫は、それぞれ5%を下回る議決権しか持たないが、彼らが残りの株のほぼすべてを保有している。これによりエルカーン氏の地位は、一族の残りのメンバーが反対勢力として結託するというありそうもないことが起きない限り揺るがない。エルカーン氏を除くアニェリ家の拡大家族は、資本を提供しながらも、その行方については発言権がない。その一方で、フィアットを支配する男が保有しているのは、株式のわずか3.5%に過ぎないのである。
高度な優先株
こうした仕組みの経済的なコストは複雑だ。同族経営会社の魅力の1つは、経営者と株主との関係にある。ほとんどの企業では、経営者は利益をオーナーに払うより、例えば贅沢な経費や大掛かりなプロジェクトを通じて利益を吸い上げることに関心がある。対照的に同族会社では、経営者がオーナーだ。事業に投じられた一族の資産が多ければ多いほど、経営者と株主の利害は一致するようになる。従って、同族経営の会社の上場を阻んだり株式による資金調達より借り入れを促すことは、経済的に非効率である可能性がある。
しかし多数議決権株式はこの論理を弱める。二重階級株式と階層構造の企業群は、権力者をカネを皆に平等に分けるよりも自分たちが得をする方向へと向かわせる。そんな極端な例として米国の検察が非難しているのが、ホリンジャー・インターナショナル(現サン・タイムズメディアグループ)だ。同社はかつて英国の日刊紙デイリー・テレグラフやエルサレム・ポスト紙を傘下に置く世界最大級の新聞グループだった。その元CEO(最高経営責任者)のブラック卿は会社のカネを数千万ドル流用したとして法廷に立たされる(本人は罪状を否定している)。
不正容疑の1つの要素が同グループの資本構造にあった。鎖のようにつながった企業群を使い、ブラック卿はホリンジャー株の20%近くを間接的に支配していた。だが、彼はおよそ70%の議決権を持っていた。彼の持つクラスB株式は、ほかの投資家が保有するクラスA株式の10倍の議決権を与えられていた。ブラック氏は多額の報酬を払って取締役会を著名な知人で埋め尽くし、彼らはほとんど疑問を呈さなかったようだが、誰もブラック氏を止められなかった。ブラック氏を解任できる人がいないために、釣り合いを取る立場の人間がいなかったのだ。
こうした大きなリスクにもかかわらず、企業の間で多数議決権株式の改革を求める声は多くない。恐らくこれは、交渉力を高める何らかの方法がなければ、成功する可能性が低いことを投資家側が分かっているからだろう。
しかし投資家の立場が強い時には、彼らは実際に変化を起こすことができる。2006年、当時世界第2位の鉄鋼グループだったアルセロールが世界最大の鉄鋼グループのミタル・スチールから敵対的買収を仕掛けられた時、防衛策の一部として行ったのは買収側のガバナンス(企業統治)を非難することだった。
アルセロールが主に攻撃したのは、ミタル・スチールの支配株主であるラクシュミ・ミタル氏が保有するクラスB株式に割り当てられた不均等な議決権だった。買収を成功させるため、ミタル氏は、合併後の新企業アルセロール・ミタルはすべての株式を経済的権利及び議決権において平等とすることに合意した。
もう1つのガバナンスのリスクは、経営を次の世代に継がせようとする企業に起きる。経営者の子供がパパのおかげでトップの座につくかもしれないという懸念である。こうなると、才能があっても苗字が違う者にはチャンスがないことになる。米国の調査によると、2世の経営する企業は、そうでない企業と比べてうまくいかない傾向がある。
フランスのラガルデール家は、雑誌からミサイルまで手がける同族上場企業を、わずか7%の株式支配で子孫に継がせる究極の方法を見つけ出した。フランスの株式合資会社(societe en commandite par actions)である。フランスの株式合資会社には、2種類の出資者がいる。無限責任出資者と有限責任出資者、つまり株主だ。無限責任出資者は会社の経営責任を負う業務執行者(gerants)を指名する排他的権利を有する(gerantsの任期は6年で再任も可能)。
ラガルデールの無限責任出資者は、故ジャン=リュック・ラガルデールの息子で、この構造を築いたアルノー・ラガルデールと、ラガルデールの支配するArjil Commanditee-ARCO (以下ARCO)だ。当然のことながら、この無限責任出資者は自分たちをラガルデールの業務執行者に指名した。同社の株主が指名する監査役会は、まず最初にラガルデール氏が自分自身を業務執行者として解任しない限り、ラガルデール氏を無限責任出資者から外すことができない。そしてARCOの無限責任出資者としての地位も、ラガルデール家が同社を支配している限り、手をつけることができない。
企業統治を求める声に応えるリップサービスとして、同社の定款は、株主が業務執行者の任命(あるいは再任)を承認すると定めている。だが株主は、最終的に少なくとも3分の2以上の賛成がなければ候補者を拒否することができない。もしそうなれば、ラガルデール氏とARCOは無限責任出資者としての権限で経営を担うことになる。言い換えれば、ラガルデール家は好きなだけ経営を続けられるわけだ。
一族が支配権を失うことがあるとすれば、それは誰かが同社の株式の3分の2を取得して、支配権を一族に与えている規則を変更するよう法廷に申請し、それがうまくいった時だけということになる。フランスのもう1つの主要企業、世界最大のタイヤメーカーであるミシュランもこの手の株式合資会社だ。
その他のフランスの起業家や創業者一族は、支配権を揺ぎないものとするためにここまで極端な方法は使っていない。上場自動車会社PSAプジョー・シトロエンは、同一名義で4年以上保有し続けた株式に2倍の議決権を認めている。このルールの恩恵を主に受けているのはプジョー家だ。プジョー一族は30%の株で議決権の45%を行使できる。
このシステムは本来、株主の忠誠を高め、投機を罰するものであるはずだった。だが実際は、主に大きな同族株主に恩恵をもたらしてきた。高級品グループLVMHの株式の半分弱を保有するアルノー家、そのライバルでPPRを支配するピノー家、建設から電気通信までをカバーする複合企業ブイグSAのブイグ家などである。ブイグ創業者の息子の1人、マルタン・ブイグ氏が同社を経営しており、同様にピノー氏の息子、フランソワ=アンリ・ピノーがPPRを経営している。
二重階級株式の株価が割り引かれることは、支配の欠如が不正につながりかねないリスクを反映したものだ。どのくらい頻繁にそうしたことが起きるのか、その証拠はまちまちだ。1株1議決権の仕組みをやめて二重階級構造に切り替えた企業を対象とした調査の結果によると、平均すれば、その変更は株主にとってプラスになった。一方、二重階級構造の企業が株式公開した例をみると、そうした企業は1種類の株式しかない同等の企業よりも株価パフォーマンスが高いという結果が出ている。
しかし、このテーマに関して最も包括的に調べたのは、ペンシルベニア大学ウォートン校、スタンフォード大学、ハーバード・ビジネススクールによる最近の共同研究だろう。1995年から2002年にかけて二重階級株式を持つすべての企業を対象に行った研究では、経済的権利を超える議決権を伴う株式は他の株主にとって悪いものであり、その差が大きければ大きいほどダメージも深刻になるという結論が出た。
「理想的なのは、経営者に対して経済的なオーナーシップをたくさん与える一方で、議決権は与えないこと。二重階級株式の企業では、逆のことが起きている」。論文の3人の著者の1人、アンドリュー・メトリック氏はこう言う。この研究のデータを使って、本紙は二重階級企業を時価総額でランキングした表を作成した(図2参照)。大手メディア企業がリストを占め、ニューヨーク・タイムズ・カンパニーのように時折敵対的買収の対象になる(全面開示:エコノミストは非上場企業だが、その株式には4つの階級がある)。
オランダ病
同族支配も問題だが、会社に長期的な利害を持たないのに支配権を得た経営者のほうがもっと危険だ。オランダの預託証券制度は、経済的権利と議決権を分離しており、その結果、経営者は株式資本を一切持たずに議決権を支配することが可能になっている。この制度を採用している企業が株式を発行する場合、会社は議決権を保持する議決権信託に対して株式を発行。次に信託が預託証券を発行する。預託証券は、基礎となる株式の経済的権利を反映するものだ。
預託証券の保有者は信託に対して、どのように投票するか指示できる。だが実際に指示する保有者は少なく、結局、信託が議決権を支配することになる。「議決権信託は、議題のすべての項目に賛成票を得るための仕組みだ」とオランダ投資家協会(VEB)の責任者ピーター・ポール・ドブリーズ氏は言う。過去30年間、株主総会を見てきたドブリーズ氏は、経営者に反対票を投じた信託を見たことがないという。
最近では、この制度を使うオランダ企業の数は減ってきている。しかし、今でも使っている10%の企業の中には、ABNアムロ(ヘッジファンドに包囲されている)とINGの銀行2行、そして巨大消費財企業ユニリーバなどがある。INGは他の企業と同じように、預託証券によって少数株主が支配権を手に入れるのを防ぐことができると主張する。しかしVEBはこの制度を激しく批判している。株主から影響力を取り上げてしまうというのが主な理由だ。「独裁者が自ら独裁を放棄することはめったにない」とドブリーズ氏は言う。
このオランダの仕組みは歪んだものだが、その他の支配システムはもっとバランスが取れている。創業者一族が支配権を維持したがるのは理解できる。しかし、一族が公開市場から資金を求めながら、投資家を信用しないあまり防衛策を講じるというやり方には、一貫性のなさが感じられる。それ以上に、かつて会社が上場した時にはいいアイデアだと思われていたことが、50年後にはそれほど賢く見えないということもある。フォードでは、ヘンリー・フォードの思い出は、凋落を食い止められない後継者らの苦戦よって、その光を失いつつある。
以上、『日経ビジネスオンライン』より。
以下に記事を5件。
ポルシェ、VWを実質傘下に (AFP=時事)
2007年3月25日(日)07時30分【ベルリン24日】ドイツのスポーツ車メーカー、ポルシェは24日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)への出資比率を現在の27.3%から高め、同社を実質傘下に収める方針を明らかにした。≪写真はフォルクスワーゲン=左=とポルシェの企業ロゴ≫
ポルシェは最高意思決定機関である監査役会の後、声明を発表、当初はVW株を買い増し、出資比率を31%にまで高める方針という。この結果、ポルシェはドイツの法律によりVWへの買収提案を義務付けられる。
ポルシェによるVW株買い増しは、VW株の3.7%を追加取得するオプション契約を行使する格好。ポルシェはこれまで広がっていたVW買収観測を否定してきた。
http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=20070325afpAFP011617
独ポルシェ、VWを実質傘下に・持ち株比率31%に上げ
日本経済新聞 - 2007年3月24日【フランクフルト=後藤未知夫】スポーツ車メーカーの独ポルシェは24日、独フォルクスワーゲン(VW)に対する持ち株比率を27%から31%まで引き上げると発表した。ポルシェは今後、持ち株会社を設立、VWを実質的に傘下に収める。国際的な自動車再編が進む中、VWが買収されるのを防ぐ狙い。
独企業では出資比率が30%を超えると買収提案を義務づけられており、ポルシェは他の株主に対し、VW株を1株100.92ユーロで買い取る提案をする。ただ、VWの地元で第2位株主のニーダーザクセン州など大株主が売却に応じるかは不透明。
VWは国内法で大株主の議決権が20%までに制限されているが、欧州司法裁判所が年内にこれを違法とする可能性が高い。そのため新たな買収防衛策が必要となっていた。ポルシェの買い増しで同州と合計した保有比率が50%超となれば、買収懸念は遠のく。(01:12)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070324AT2M2401Y24032007.html
ポルシェ07年度上半期、純利益上昇へ
独高級自動車製造会社ポルシェ(Porche A.G.)は5日、同社2007年会計年度上半期の純利益が上昇したと発表した。同社純利益の上昇は、主に同社が筆頭株主となっているフォルクスワーゲンの株価上昇に起因しているという。同社1月31日締めの07年度上半期純利益は15億ドルとなり、同社予測値の13億8千万ドルを上回る結果となった。またポルシェは2007年会計年度の収益は前年度を上回ることが期待されると発表した。
ポルシェはフォルクスワーゲン株式の27.3%を所有しており、株式取得総額は13億2千万ドルに上る。ポルシェは声明文で「欧州最大の自動車会社であるフォルクスワーゲンに投資して1年半が経過する間に、ポルシェ株価が50%の上昇を示し、さらに同社が筆頭株主となっているフォルクスワーゲン株価は倍増した」と発表した。
一方同社売上高は前年同期比で1.3%減の40億4千万ドルとなった。ポルシェ2007年度上半期自動車販売台数は3万9,265台となり、前年同期の4万2,230台から7%の減少となった。ポルシェは声明文で「同社は現在当初予測よりも2006-2007年度収益に関しより楽観視している。同社は東ヨーロッパ、およびアジアでの市場成長に伴い、今後前年レベルの販売台数を回復することを目標にしている」と述べた。
同社は今後中国での販売店舗数を現状の12店舗から20店舗に増加させ、中国での販売台数倍増を図っている。同社は2006年度中国で1,920台の自動車を販売している。
(03/06 07:21)
独VW買収規制法、違法判断へ・欧州司法裁
日本経済新聞 - 2007年2月14日【ブリュッセル=下田敏】欧州司法裁判所は13日、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の議決権を制限するドイツ国内法は欧州連合(EU)法令に違反するという判断を固めた。買収阻止を狙った保護主義的な規制とする欧州委員会の訴えをほぼ認めるとみられる。VWを買収から守る独国内法の撤廃は避けられず、筆頭株主で独スポーツ車メーカーのポルシェはVWへの出資拡大に動いている。
欧州司法裁はドイツの「VW法」はEU法令で定める資本の自由移動を制限しているとの法務官の意見書を公表した。意見書は裁判官が判決を下す際の重要な判断材料。EU法令違反との判決が出る公算が濃厚だ。(07:02)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070214AT2M1303913022007.html
国民的自動車「プロトン」の名は存続へ=交渉相手は現在VWだけ−マレーシア首相 (AFP=時事)
2007年3月25日(日)07時38分【クアラルンプール24日】マレーシアのアブドラ首相は米CNBCテレビとのインタビューで、身売りの可能性について外資と交渉中の国営自動車会社プロトンの名前を消すことはできないと語った。国営ベルナマ通信が24日伝えた。≪写真はクアラルンプールの自動車ショールームに飾られたプロトンのロゴマーク≫
アブドラ首相は「プロトンは国民的自動車であり、ブランドだ」と強調。プロトンの名前を忘れることはできないと語った。一方で「優良な外国のパートナーがプロトンの新型車やエンジン、技術の開発を助けてくれるだろう」と述べた。
ベルナマ通信によると、同首相はプロトンの交渉相手は現在、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)だけだとしながらも、この交渉が失敗に終われば米ゼネラル・モーターズ(GM)と交渉を開始する可能性があると語った。
マレーシア政府は、国営投資会社保有分を含め、プロトン株の59%を保有しているが、競争激化による販売減少で赤字計上が続くプロトンの提携相手を見付ける必要に強く迫られている。
これまでプロトンへの出資についてVW、GMのほかマレーシアの自動車会社3社が関心を示している。
http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=20070325afpAFP011618
「自動車が金持ちの階級のものである限り、それは国民を貧富の二階級に分ける道具にしかならない。国家を真に支えている多くの国民大衆のための自動車であってこそ、文明の利器であり、素晴らしい生活を約束してくれる。我々は今こそ“国民のための車”を持つべきである。」(1933年ベルリン・モーターショーでの開幕演説=ヒトラー)