桑田元組長が死去した
■ 五代目山口組で若頭補佐をつとめた三代目山健組の桑田兼吉組長が死亡した。服役中の桑田元組長が刑の執行停止を受けて緊急入院したのは3月15日であった。桑田元組長は六代目山口組誕生後に跡目を井上邦雄に譲ったので、現在の山健組は四代目体制になっており、桑田元組長自身も事実上現役を引退していたが、山口組が五代目体制から六代目体制に移行する重要な時期に社会不在だったこともあり、現在収監されている司六代目よりも先に出所するはずだった桑田元組長の動向には注目していた。
桑田元組長の入院(刑執行停止)については、毎日新聞の他にも「ストレイ・ドッグ」がそのことを伝えていたし、週刊誌も大きく取り上げていた。
山健組の桑田三代目は、1969年頃から初代山健組健竜会(初代会長は五代目山口組渡辺組長で、当時は山健組若頭)に所属し、健竜会副会長を経て、二代目山健組誕生と同時に二代目健竜会の会長に就任した。二代目山健組では若頭代行を務め、その後は若頭に就任する。五代目山口組が誕生すると、渡辺組長の後を継いで山健組三代目を襲名し直参に昇格。その後は山口組最高幹部である若頭補佐に抜擢され、「宅見事件」後は若頭への最有力候補と見られてきた。以上の経歴から判るように、桑田兼吉は“山健組一筋”の大親分であった。
法の適用が厳しいと言われるヤクザが刑の執行停止を受け緊急入院したということは、刑務所内では治療を施せないほどの重病だったと考えられるから、そうとう危険な状態にあると想像できた。亡くなったのは4月5日(木)の午後ということなので、緊急入院した3月15日(木)からちょうど3週間で逝去したことになる。
桑田元組長は冤罪で収監されたんだし、同様の罪に問われた司六代目と滝沢若頭補佐は保釈されたのに桑田元組長だけは保釈されなかった。五代目体制が終焉を迎える重要な局面で社会不在にされてしまったのだから、さぞや無念だっただろうと想像する。滝沢若頭補佐のように桑田元組長も無罪になっていたら、司六代目が誕生していたかどうか微妙だったのではなかろうか。あるいは六代目人事が大きく変わっていたに違いない。
三代目山健組で桑田組長を支えてきた橋本組長代行(極心連合会会長)と井上若頭(四代目山健組組長・四代目健竜会会長)の両名は、共に六代目山口組の若頭補佐という最高幹部に就任しているし、2月に起こった「西麻布での射殺事件」に関連して小林会が返しの発砲をした事務所のひとつは太田会系の事務所だったが、この太田会も三代目山健組の系列から山口組の直参に昇格した組織である。
毎日新聞によると、桑田元組長は敗血症のため死亡したらしい。殺された可能性なんてあるのだろうか、なんてね。
● 司組長の実刑確定へ
● 山口組の滝沢若頭補佐、2審も無罪
● 後藤組長逮捕
● 山口組国粋会の工藤会長が死亡
以下に記事など。
山口組元幹部:病気で刑執行停止の元幹部死亡
銃刀法違反(共同所持)で懲役7年が確定して収監された後、病気のため執行停止となり釈放され入院していた指定暴力団山口組の桑田兼吉(かねよし)元最高幹部(67)が、敗血症のため大阪市内の病院で死亡したことが分かった。
桑田元幹部は釈放当初、東京都内の病院に入院していたが、先月下旬に転院していた。
確定判決によると、桑田元幹部はボディーガードの組員らと共謀し97年12月、東京都港区に停車中の車内などに自動式拳銃「トカレフ」など5丁と実弾を所持していた。
毎日新聞 2007年4月6日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070406ddm012040119000c.html
刑執行停止中、山口組元最高幹部が大阪の病院で死亡
大阪府警に入った連絡によると、銃刀法違反罪で懲役7年が確定、服役中に刑の執行停止を受けていた指定暴力団山口組元最高幹部、桑田兼吉受刑者(67)が5日、大阪市内の病院で死亡した。
桑田受刑者は1997年12月、警視庁に現行犯逮捕され、最高裁で上告棄却後、2004年3月に収監。先月15日、病気悪化による執行停止で八王子医療刑務所(東京)から都内の病院に移り、同28日、大阪市の病院に転院していた。
ZAKZAK 2007/04/06
刑執行停止中の山口組元最高幹部が死亡 大阪市内の病院
2007年04月05日身辺警護役の暴力団組員に拳銃を持たせたとして銃刀法違反(共同所持)の罪に問われ、懲役7年の実刑判決が確定した指定暴力団山口組の元最高幹部、桑田兼吉(かねよし)受刑者(67)が5日午後、大阪市内の病院で死亡した。東京高検が3月、容体の悪化を理由に刑の執行を停止していた。
大阪府警捜査4課によると、桑田受刑者は、準構成員を含め約7千人を抱える山口組傘下の最大組織、山健組の前組長で、渡辺芳則・山口組前組長のもとで山口組の若頭補佐を務めた。
桑田受刑者は97年12月、東京都港区の路上で、配下の組員に乗用車内などに拳銃を隠し持たせていたとして警視庁に現行犯逮捕された。03年5月に最高裁が上告を棄却し、04年3月に収監された。
東京高検:病気悪化で山口組元最高幹部の刑執行停止
ボディーガードの組員に拳銃を持たせたとして銃刀法違反(共同所持)で懲役7年が確定した指定暴力団山口組元最高幹部の桑田兼吉受刑者(67)について、東京高検が病気悪化を理由に刑の執行を停止したことが15日分かった。桑田受刑者は釈放され、東京都内の病院に入院したという。
確定判決によると、桑田受刑者は組員らと共謀し97年12月、東京都港区に停車中の車内などに自動式拳銃「トカレフ」など5丁と実弾を所持していた。
毎日新聞 2007年3月16日 0時51分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070316k0000m040159000c.html
『司法の崩壊』やくざに人権はないのか
Ⅰ 極道冤罪事件──桑田兼吉裁判
裁判で問われていること/逮捕に至る二つの伏線/悪い予感の的中/兄弟の思いやりを利用した取り調べ/違法な「共謀共同正犯」の解釈/山口組のボディーガード/検察側の主張/警護は必要だったのか/本来の「器量」論/「スワット」の実態/盗聴の可能性と週刊誌記事の証拠採用/司法ファシズムとの闘い/疑惑のビデオテープ/証言の変遷/歪曲された自白/裁判官は検察の代弁者か!?/桑田さん謀殺の疑い/やくざから国民へ適用される法/異例が日常化する恐ろしさ/桑田さんは無罪である